「カイト君……貴方が死ぬ…未来が……」
黒狐が涙を流しながらカイトに言った。カイトはそれを聞いて驚く。自分がもうすぐ死ぬと言われて、普通なら冗談ではないかと思うが、黒狐の未来眼は100%である。
「……なるほど。それは仕方ないか」
カイトは笑う。自分が死ぬと言われているのにまったく動じず、ただただ笑っている。
「笑っている場合じゃないよ! 解っているの、カイト君!?」
「解っているって。まぁ、どのみち俺はこっちの世界では、あと少ししか生きられないのは知っているだろう」
「……そ、それはそうだけど。だけど……」
「ありがとうな、黒狐。何も知らずに死ぬよりかは教えてもらった方がスッキリするよ」
カイトは黒狐を抱き締める。
「カイト君……ハクトはどうするの?」
「あいつは立派な魔導師になれると信じている。だから、あいつのドライブをお前から渡してあげてくれるか」
「……分かったよ。気を付けてね。簡単に死なないでね」
「あぁ、俺も簡単には死なないさ」
カイトと黒狐は離れて、カイトは家を出て行った。
「……お願い。今回だけはこの未来だけは訪れないで」
黒狐は手を合わせて祈る。
「そして……何でご飯、作ってくれなかったのよぉぉぉぉぉ〜〜! お腹空いたぁぁぁぁ〜〜!」
……台無しである。
協会本部まで車で戻ってきたカイト。本部前ではすでにカイトの部隊が揃っていた。
「「お疲れ様です、嵐山教導官!」」
敬礼する一同。
「そんなに畏まらなくて良いぞ。今回はそんなに厳しい仕事じゃないから」
カイトはみんなにそう言って気楽にさせる。
「嵐山」
「マスター……」
カイトの前に協会本部のマスターがやってきた。相変わらずの白と黒の仮面を被っている。
「すまないな。お前に任せてしまって」
「構いませんよ。これ以上、あの様な研究など野晴らしには出来ないと思っていましたから」
カイトはプロジェクトSをこれ以上させるわけにはいけないと思い、進んで研究所を抑える事を志願したのだ。
「それではマスター。これより、プロジェクトSの研究所を制圧してきます」
「うむ。武運を祈っているぞ」
敬礼してからカイトは車に乗って、プロジェクトSの研究所へ向かっていった。
協会本部に残ったマスターは自室に戻って椅子に座る。
『ご苦労様です、マスター』
すると、不意にモニターから男が現れた。声だけを出して姿を全く見せない。しかし、その声だけでマスターは誰なのか解っていた。
「紀藤様……ご無沙汰しております」
『そんなに畏まるな。気楽にしておけ』
「そうは参りません。紀藤様のおかげで私はこの地位に立つ事が出来たのですから。御四十七家にして世界政府の天魔十二将に選ばれた大魔導師様ですから」
紀藤と呼ばれたこの男は、時鷺国では長谷部家と同じ御四十七家の一つで、世界政府の中ではトップに立つ天魔十二将の一人でもある。協会本部のマスターが今この椅子に座る事が出来るのは紀藤のおかげである。
「いよいよですね」
『あぁ、いよいよさ』
二人はくすくすと笑い続ける。
プロジェクトSの研究所ではレイがヴァニラ・J・ウィリアム博士と一緒に所長室に呼ばれていた。
「ごめんなさい。ちょっと外の空気を吸いたくなってしまいまして」
「本来でしたら、貴女は処分してしまおうかと思いましたけど。貴重な人工生命体です。今回は不問にしておきましょう。ただし、今後は私の命令には絶対に従って下さいね」
「はい。分かりました」
レイは元気良く答えて所長室を出て行く。ヴァニラは無言でレイの後を追う様に所長室を出て行く。
「ごめんなさいです、ウィリアム博士」
廊下を歩いていると、レイがヴァニラに謝る。
「……あ、そうですね」
レイは少し遅れてからヴァニラに答える。いつもはすぐに答えるはずのレイが返事をするのが遅れるなんて意外であった。
「……え? あぁ、大丈夫ですよ」
またしても返事が遅れるレイ。ヴァニラは何か難しそうな表情をして考える。レイも何か違和感があるなと考える。そして、それが何かに気付いた。
「何だ、それは?」
「外でお世話になった所では、私の事をレイと呼んでくれていましたので、そっちで呼ばれるのは本当に忘れていました」
「レイだと?」
「0と1を合わせて、レイって付けてくれたのです」
「……そのネーミングセンスの悪い奴は誰なんだ?」
「んっ? そうでしょうか? 私は気に入っていますけど、何かダメな所があるのですか?」
「いや、お前が気に入っているのなら、別に良いさ」
ヴァニラはレイが自分の名前を気に入っているのなら、それでも良いかと思った。
「あぁ、そうでした。それでは博士、お先に失礼します!」
「やれやれ……」
その様子を見ていたヴァニラは、一息吐いてから魔法陣を出して、ぴぴぴと入力すると、魔法陣からモニター越しでカイトの顔が映った。
『ウィリアムか。今は大丈夫なのか?』
「あぁ、今は大丈夫だ。そっちは問題ないな」
『大丈夫だ。部隊を編成させて今研究所の前で待機させている』
既にカイトの部隊が研究所を取り囲んで待機している。いつでも突入出来る状態である。
『そっちの手筈は整っているのか?』
「あぁ、既に時限爆弾をあらゆる場所に設置してある。いつでも発動する事が出来る」
『そうか……そう言う事だけ本当に速いな。いつもならまだ終わらせていないと思っていたけど』
「チョコが楽しそうに設置していったからね」
錬金術で作っていった時限爆弾を研究所の色んな所に設置していったチョコはかなり楽しそうにやっていた。
『よくやってくれたと言っておいてくれ。それであれを何とかする事が出来るのだろう?』
「まぁな。俺の理論に間違いはない。恐らくお前達の事を知った所長が結界を張るかも知れない。その時にこっちも動く」
『了解。そっちが動いた瞬間、突入する。バレたら愛しの妻と一緒に逃げるんだぞ』
「なっ!? き、貴様…っ!?」
ヴァニラが何か言おうとした瞬間、どーんと遠くで爆発の音が聞こえた。
「おい、カイト。誰かが侵入して来たぞ……お前の部隊じゃないのか?」
『いや、それはない。俺が突入の命令をするまで待機しておく様に連絡している』
カイトは遠くで他の通信をして点呼していくが、やはりどこのも突入していない。研究所では侵入者の警報が鳴り出した。ヴァニラはカイトの通信を中断させて、研究所の通信機を取り出して警備室に内線を掛ける。
「おい、一体何が起きている!?」
『ウィリアム博士!? 侵入者です! 白い髪をした少年が裏口から侵入してきました!』
「『…な、何っ!?』」
ヴァニラとカイトは驚いた。まさか……
そのまさかであった。
「まったく……うるさい警報だな」
ハクトはう〜う〜と鳴り続ける警報を魔法弾で撃ち落していった。そして全ての警報を撃ち落して静かになった。
「あ〜、トランクの中って結構肩凝るな……」
肩を回すハクト。どうしてハクトが研究所に来ているのか。
答えは至って簡単である。実はカイトが一度自宅に帰ってきた時、ハクトも自宅に戻ってきていたのだ。黒狐とカイトの会話は聞こえなかったけど、教会本部からこっちに戻ってきたと言う事は何かあるんじゃないかと思って、自室で準備してから表に止めてあったカイトの車のトランクに隠れて付いてきてしまったのだ。そして、カイトの車が止まってトランクから出たハクトはカイトの部隊の一つに付いていって裏口を見つけて侵入してきたのだ。もちろんロックされていたけど、ハクトは黒狐と先生からピッキングのスキルを覚えさせられていたので、簡単に開ける事が出来たのだ。
「さて、うるさいのがいなくなったけど、また別なのが来たかも知れないな。こんな時の為に用意しておいて良かったかもな」
ハクトは背負っていたリュックの中から透明のマントを出して頭から被った。すると、ハクトの姿が消えてしまった。ステルスマントと言って、これを纏っていると姿を消す事が出来る魔法道具である。
少しして、研究所の警備隊がやってきて銃を構えるが、ハクトの姿を見つける事は出来なかった(密かにハクトは防犯カメラも破壊していたので、何をしていたのか分からないままである)
「こちらA班。侵入者、どこにもいません」
警備隊が通信で連絡している間にハクトは忍び足でその場から離れていく。
「侵入者って、もしかして……」
レイはハクトがやってきたのではないのかと考える。
「……姉さん」
なでなでと頭を撫でてあげる。
「違う。外の世界の話をもっと聞かせて……」
「そうだね。私はそこでね、一人の男の子と出会ったの。私の為に必死に頑張ってくれる人に出会った、お話して、動物と触れ合って、戦って、そして……私はその人に…恋をしたの」
「恋?」
「そう。大好きになったの。その人は私に名前をつけてくれて、その人の事を考えると、ここがドキドキするの」
「ねぇ、貴女も一緒にここを出よう」
「姉さん、私達はここから出る事は出来ないよ。私達はバケモノだから」
「ううん、私達はバケモノじゃないよ。こうして人間の様に生きている。美味しい物を食べて、動物と触れ合って、恋を知った私がいるのだから、きっと貴女も私の様になれるよ」
レイは07を抱き締める。
「そうだ。貴女も私の様に名前を付けてあげる」
「名前?」
「うん。そしたら、もうバケモノじゃないよ。そうだね。私が0と1でレイだから、貴女は0と7でレナってどうかな。うん、可愛い名前になった」
「れ、な……レナ……」
「そうだよ。私は貴女の事をレナと呼んであげるね」
「レナ……私の名前は、レナ……ありがとう、姉さん」
レナと名付けられた07は嬉しそうに笑った。
警備隊の目を掻い潜って、ハクトはどんどん研究所の奥にやってくる。
「どこにレイがいるのだろう……んっ?」
すると、ハクトの目の前に誰かが横切った。紺色の髪に緑色と薄い紫色の瞳をした少女が歩いている。
「……侵入者、発見」
彼女はそう言って、右手を黒い刃に変えて、ハクトに襲い掛かってきた。ハクトはヤバいと思って被っていたステルスマントを外して躱す。
「……貴方が侵入者?」
「わ、悪い……ちょっとレイに会いに来ただけなんだ!」
「……01に……ついてきて下さい」
「協力してくれるの?」
最初に会った時は前髪で顔が隠れていたけど、今は前髪を横に分けて顔が見える様になっている。
「……可愛いと言ってくれたから」
「えっ? 何か言った?」
「そう言えばさ、どうしてさっき俺がここにいたのが分かったんだ?」
ステルスマントを被っていたら決して見つかる事がないと思っていたハクトだったが、何故か見つかった事に疑問を抱いていた。
「なるほど……魔導師を見つけるのは簡単と言う事か」
「……怖い?」
「いや、便利だなぁと思って」
「むむっ!? また何か嫌な予感がしました」
レイの髪の毛が数本逆立ち、何かを察知する。
「姉さん、一体どうしたのですか?」
「あ、何でもない、何でもないよ」
レイがあははと笑っていると、研究所全体に放送が入ってきた。
所長の声が部屋に響く。レイとレナはお互いの顔を見る。
「姉さん、どうするの?」
「決まってるでしょう。もう魔導師の魔力を奪う様な事はしない。私達は自由に生きるのよ」
「でも、どうやって生きるの? 魔力を喰わないと生きていけない」
人工生命体には魔力が存在しないので、魔導殺しに魔力を喰われ続けてしまうと、いずれ待っているのは機能停止である。
「ウィリアム博士とチョコさんならきっと何とかしてくれるよ。だから、一緒に行こう、レナ」
レイはレナの手を掴んで部屋を出てゆく。
そしてヴァニラとチョコは今の放送を聞いて、そろそろこっちも仕掛ける準備をする。
「結界が発動したか……魔力が使えなくなっている」
先程の放送が終わってすぐに研究所の結界を発動されて、中にいる魔導師の魔力を一時的に弱らせているのだ。錬金術師でも魔力を持っているので、ヴァニラとチョコには少しだけ身体に力が入らなくなっている。
「チョコ、始めるぞ」
「……はいなのです。ポチッとな」
チョコが持っていたスイッチを押すと、研究所に設置していた時限爆弾が爆発していった。と言っても、威力は大した事はなく、少し揺れるぐらいであるが、実は魔力の減少をさせているこの結界を破壊する事を目的に作った結界破壊用の時限爆弾である。こうして、結界は一瞬にして消されてしまった。
「カイト!」
『あぁ、全部隊、制圧開始!』
外で待機していたカイトの部隊がついに動き出した。魔導師達が次々と研究所内に入っていき、研究員を捕縛していく。決して殺す様な事はしない。
「研究所にいる者達よ! 我々は世界魔術協会の魔導師部隊だ。君達は人工生命体製造と魔導師の拉致、誘拐の疑いが掛けられている。魔術協会の法の下にお前達の身柄を拘束する。武装を解除し、今すぐ降伏するが良い!」
カイトは魔法陣を使って研究所にいる全員に聞こえる様に呼びかける。研究員達や警備隊は次々と魔導師達に降伏していく。
しかし、その中で魔導師部隊の一つが倒れていく。
「へん、この程度で降参出来るかよ。きひひ……」
「きひひ……どうした、どうした!? かかって来いよ、魔導師さんよ! ボクに狩りを楽しませろよ!」
「こ、これが、魔導殺しと言う奴か……ぐはっ!?」
すると、後ろから誰かに刺された。オレンジ色の髪をした少年と金髪の少年が魔導師達の身体を貫いて、魔力を喰らっているのだ。
「面倒くさいな……」
「きひひ……そうだな。面倒になる前に終わらせて、侵入者を排除するか!」
『所長、魔導師達の数が多過ぎます』
所長室で警備隊からの通信が出ている。所長は身体を震わせている。
それぞれの報告をするが、所長は動じたままである。
「まったく、こう言う時の為に戦闘訓練させ続けたと言うのに、役に立つのと立たないのがいますね」
所長は机を大きく叩いた瞬間、所長室の扉が大きく開いた。そこからカイトがゆっくりとやってきた。所長は落ち着いて椅子に座った。
「おやおや、嵐山カイトさんではないですか? 一体、これはどう言う事なのでしょうか?」
「貴方を逮捕しに来ました。大人しく捕まってもらえませんか?」
カイトは自分の身長より長い槍を振り回して構える。
「あははは……何故私が逮捕されるのですか? 私達は世界政府のめぇ〜でやっているのですよ」
「残念だけど、協会本部はそれを黙って見過ごせなくなった。魔導師を拉致、誘拐して、ここの実験動物にされている事も調べはついている。言い逃れは出来ないと思え」
もちろんこれはヴァニラの報告によって知った事である。
「くすくすくす……やはり内通者がいたみたいですね……」
「……当然なのです」
「今回は流石にやり過ぎたみたいだな」
カイトの後ろからチョコとヴァニラがやってきた。やはり貴方達でしたかと所長は笑い出した。
「まったく、貴方達は私の邪魔をすると言うのですか……参りました、降参です……」
椅子に座ったまま足元にあるボタンを足で押した瞬間、部屋の壁から無数のマシンガンが現れた。
「なんて、言うと思いましたか、馬鹿者めぇぇぇぇぇ〜〜!」
マシンガンが一斉に発射された。本来ならこれだけで相手は蜂の巣になっていたはずである。しかし、カイト、チョコ、ヴァニラには全く通じなかった。カイトは槍を前で回転させて弾幕を弾き飛ばし、チョコとヴァニラは錬金術で床から壁を練成して防御をしている。
「どうした? ネタはもう尽きたか? じゃあ、終わらせるぞ、オーディン!」
カイトは槍にそう言って投擲の準備をする。
カイトの足元に魔法陣が張られて、思い切り槍を投げ飛ばした。所長の横を通り過ぎて窓を突き破った。そして、そのまま反転してカイトの所に戻ってきた。所長は喰らったと思って、目を開けたまま気を失っている。
「さてと、これで逮捕っと……」
カイトは拘束系魔法で所長を縛った。これで一件落着となった。
すると、前方からレイとレナが走ってきた。ハクトはステルスマントを脱いだ。
「ハクト!? やっぱり!?」
「レイ、良かった……」
ハクトはレイと会えた事に喜ぶが、レイはハクトの頭に噛み付いた。
「いててててぇ〜〜!? な、何で噛まれるんだよ!?」
噛み付かれて痛がるハクトと、なかなか離そうとしないレイを見て、レナはポカンとする。
「……この人が、姉さんが……」
レナはハクトを見るが、とてもレイの様な気持ちにはならなかった。自分を見ているレナに気付いたハクト。
「そうよ。でも、レナって呼んであげて。私が付けてあげたの」
噛み付くのを止めたレイはレナを紹介してあげた。レナはレイの背中に隠れる。
「うん。私達、ここを出ようと思っていたの。まさかハクトが迎えに来てくれるなんて思わなかったけどね」
「そうだったのか? だったら、早くここを出よう……っ!?」
ハクトは背中から何かを感じて、背を向けて魔法弾を放った。ハクトが放った魔法弾は途中で消滅した。
「……残虐非道、容赦なし」
「魔導師の魔力を根こそぎ奪う」
「マジですか? それって、俺が一番危険と言う事か?」
「いえ、私達も危ないかも知れないね。敵味方関係なく襲ってくるから」
「来る」
すると、前方から巨大な光線が向かってきた。ハクト達は横に避けるが、その光線で研究所は目茶苦茶になったかもしれない。
「おいおい、無差別にも程があるだろう!?」
ハクトは光線が飛んできた方向を見ると、紫色の髪をした赤と緑の瞳をした少年が黒い刃を前に付き出している状態で立っていた。
「完全に目を覚ましている……最悪だ……」
レイはまさか彼が目を開けているなんて思わなかった。寝惚けて攻撃しているのならそれはそれで何とかなったのかも知れないけど、あれは完全に目を覚ましている。そうなったら、研究所を何度破壊しまくったのか分からないぐらいだ。
「破壊セヨ……破壊セヨ……」
「うわっ!?」
ハクト達は光線を避けるしかなかった。ハクトは光線が止むのを待ってから魔法弾を放つが、その前で魔法弾は消滅していった。
「嘘だろう……魔法が届かないのか?」
「完全に機械人間じゃないか!? 何て物を作っているんだよ!?」
魔法を完全に防御してしまうシールドがあるのなら、どうしようもない。シールドブレイクさえあれば良いけど、この時のハクトはまだシールドブレイクを使う事が出来ない。だから、光線を避けるしかなかった。
「くそっ! こんな所でいたら、他の奴らも来るんじゃないのか?」
「残りの三人は好戦的だから、見つかったらいくらハクトでも危険だと思うよ」
レイは光線を避けながら、もっとヤバい状況を言う。この状態で魔導師部隊と交戦している02、03、05がこっちにやってきては間違いなくハクトは逃げ切れる可能性が低くなってしまう。それだけは何としても避けなければならない。
「破壊セヨ……破壊セヨ……」
「くそ、どうしたら……」
「破壊セヨ……破壊セヨ……」
「くっ……」
「破壊セヨ……破壊セヨ……」
「……」
「破壊セヨ……破壊セヨ……」
「って、それしか言えねぇのか!?」
「……デストロイセヨ……デストロイセヨ……」
「言い方が変わった!? ちょっと気にしていたのか!?」
「でも、言っている事は変わりないけどね」
「ハ、破壊…セヨ……破壊セヨ……」
「マズい!」
「うぉぉぉぉぉぉぉ〜〜!」
(続く)